地方を発信源とするコンテンツ産業の育成を目的とするフォーラムの2日目。
国内・海外からの第一線の講師を迎えての講演を聴こうと、昨日にも増しての関係企業の研究者やクリエイターの方々が穂高に集まって来られていました。
特に本日は、日本を代表する世界的企業家とアーティストが講演するとあって、私を含め会場の皆さんの心の昂りが感じられました。


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先ず、本日の最初の講師は東大大学院教授でも有りコンピュータ・グラフィックス・アーティストのでも有る河口 洋一郎 氏

日本のコンピュータ・グラフィックス界を切り拓いた河口 氏の作品を鑑賞しつつ、次世代のネットワーク社会での新しいコンピュータ・グラフィックスの可能性について語られました。
ハードウェアの進歩により、従来では不可能であったリアルタイムで永続的演算プログラムによる、自己成長CGの神秘なアート性を披露してくださりました。

小さい頃は、宇宙飛行士に成りたかったと言う河口 氏は、コンピュータ・グラフィックスの限り無い表現力で、未だ人類未踏の星や宇宙の世界を表現して行きたいとの事。
また、これまでは数値の上だけであったコンピュータ・グラフィックスが、技術の発展と共に産み出される新しい入力デバイスにより、“体感”も可能なコンピュータ・グラフィックスが実現可能なことを示唆されていました。


本日ふたり目の講師は、今回のコンテンツフォーラム@穂高の実行委員会委員長でも有る、ソニー株式会社の代表取締役会長兼CEO出井伸之 氏

ソニーと言えば、オーディオやビデオの分野で、日本が産み出した世界的ブランドでも有る企業。
約10年程前には海外の映画会社を買収し、ゲームを含め、エレクトロニクス開発とコンテンツ製作の二軸を快走中でも有る。
そんなソニーが重視するキーワードとは“ものづくり”。

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それも、ハードウェアは勿論の事ですが、これまでの日本のものづくり産業の中で軽視されていた、コンテンツ製作の面でのものづくりを重視して行きたいとのこと。
最先端技術により、音楽や映画、ゲーム等のエンターテインメントが、次世代に向けてどの様に融合して行くのか、また、それらが様々なメディアに様々なコンテンツとして形にして行くのか、この部分でのコンテンツ・クリエイターの在り方や、育成が重要なポイントに成ると述べられていました。
デジタル技術が進歩することにより、従来ではプロ集団が作って個人が楽しんでいたコンテンツを、これからは個人一人ひとりがクリエイターとしてコンテンツを手掛け創出して行く時代に成ったことを語られていました。


本日の終盤では、コンテンツフォーラム@穂高の実行委員安田浩東京大学教授をはじめとする先端分野で活躍されるパネラーを迎え、コンテンツ製作における著作権問題についてのディスカッションが行われました。
近年に渡るインターネット等の最先端IT技術が齎すエンターテインメントの世界では、そこで配信される画像や音楽などのコンテンツが、誰もが自由に閲覧出来るだけで無く、ダウンロードし加工さえも可能な時代になっています。
そうした中では、そのコンテンツを製作したクリエイターの著作権利が守られていないばかりか、違法複製などの流出で、クリエイター自身の収入源を喪失する脅威が潜んでいます。
今回のデイスカッションでは、こうした脅威からコンテンツを守り、クリエイターの育成を促進させて行くには、やはり創り手も受け手も含めての個人個人が、確固たるモラルの厳守を心掛けて行くことが大切だという事を再認識することとなりました。

文・デザイン…D-Bit:松田。